巡検報告-2018

有明巡検

実施日 2018年7月29日(日)~8月1日(水)
参加学生 2年生 20名
調査地 福岡県柳川市を中心とする有明海周辺地域
引率教員 井村 博宣 教授,遠藤なつみ(TA)

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 本巡検は,地理学科2年生専門科目「野外調査法(含実習)」の野外実習として,フィールドワークを中心とする基本的な調査能力の習得を主目的とし,3泊4日の行程で実施された。有明海は日本で最も干満差が大きい海域である。広大な干潟が発達し,特色ある生活形態や産業が築かれてきた。本巡検では,当地域の生活形態・産業の形成や変化の過程を学習した。加えて福岡県柳川市を中心に,風水害,干拓・クリーク,農業と伝統工業,ノリ養殖業,ウナギ養殖業,土地利用,観光,都市交通の8班に分かれ,それぞれ調査を行った。

 初日は,長崎県諫早駅に11時に集合後,有明海に沿う形で福岡県柳川市までのバス巡検を行い,有明海干拓地における特色ある生活産業を総合的に学んだ。11時30分諫早干拓資料館に到着し,各自諫早干拓地の歴史,水害,現状等を確認した後(写真1),諫早中央干拓地へ向かい,土地利用を観察した。中央干拓地に入る手前の干拓地では,水田が広がっているのに対し,中央干拓地内においては,畑やビニールハウスが広がり,その差は大変顕著であった。一帯が長崎市向けの大規模な園芸農業地帯となっており,高い生産性を上げていることを確認した。続いて,潮受堤防展望所(写真2)に立ち寄り,堤防内側の貯水池や堤防そのものの機能の説明を受けた。潮受堤防出発後,国道207号線を北上する中で,有明海沿岸が干潮の影響を受ける様子を観察した。それは,有明海に注ぐ川の河口の岸壁に繋がれた漁船が,干上がった河床につくほどであり(写真2),有明海の干満差の大きさに学生から感嘆の声があがった。

佐賀県に入り,小城市のムツゴロウ保護区にて,干潟に生息する野生のムツゴロウや周辺環境を観察した。その後筑後川昇開橋を見学し,福岡県に入った。16時30分に灌漑と排水を担う「クリーク」が保存されている,クリークの里(写真4)に到着したが,台風による降雨に見舞われたため,予定よりも早く引き上げる形となった。柳川市内の宿舎へ17時頃に到着し,夕食後のミーティングにおいてフィードバックが行なわれた。

 2日目以降は,班ごとに聞き取り調査を主とした現地調査が行われ,毎晩夕食後にミーティングで各班の進捗状況を確認し,学生たちは教授から助言を受けた。それぞれ悪戦苦闘しながらも,充実した調査を目指し,非常に意欲的な姿がみられた。

 巡検中,台風直撃が恐れられたが,大きな影響を受けずに全行程を実施することができた。巡検で得た学びが,今後の学習や卒業研究に活かされることを期待する。

PHOTO

写真1 諫早干拓資料館における学習 写真2 潮受堤防展望所から北を望む 写真3 船底が河床についた漁船 写真4 クリークの里における井村教授の説明
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